日野晃

 

1948年、大阪に生まれる。日野氏は、名高い日本武道の達人であるだけでなく、演出家、身体運動コーチ、教師、振付家、プロのジャズドラマー、著作家でもある。

 

日野氏の驚くべき身体能力は、中学校時代に独学で器械体操を学んだときに目覚めた。その結果、東京オリンピックの器械体操強化選手の一人に抜擢されたりした。

 

70年代、80年代には、プロのジャズドラマーとして、阿部薫などの一流ミュージシャンと共演。それのみならず、様々なジャンルの一線で活躍するアーチストともコラボレーションを行った。その例として、劇団維新派(演劇)、舞踏家田中泯、詩人吉増剛造などがいる。

 

30歳の時に和歌山県熊野に、日野武道研究所を設立。そこでの徹底的な稽古から、「日野メソッド」の根幹を築く。メソッドは、筋力に頼らず、身体的知能を磨くことにより、身体をより効率的に使うことを目指している。

 

日野氏とそのユニークなメソッドは、国内外のメディアからよく取り上げられている。日野氏の人間身体の理論は、武道家のみならず、アスリート、ダンサー、俳優、医者、教師、治療家、科学者など、様々な人たちに影響を与え、支持されているのである。

 

2005年以来、日野氏は、振付家ウィリアム・フォーサイスに招かれて、ドイツのフランクフルトでフォーサイス・カンパニーの指導をほぼ毎年行っている。(日野氏とフォーサイス・カンパニーの交流の模様は、「ウィリアム・フォーサイス武道家日野晃に出会う」と題された本になり、2005年に白水社より出版された。) これまでに日野氏は、日本、ヨーロッパ、北アメリカで数々のセミナーやワークショップを行ってきている。

 

日野氏の技術と多様な経験は、日本のパフォーミング・アーツ界の重鎮たちにも影響を与えている。2007年に、演出家野田秀樹は、日野氏に演劇作品「ロープ」のキャストの指導を要請したほどだ。

 

演出家としても、日野氏はあまたの優秀な表現者とともにダンスや演劇作品を手掛けている。プロレベルの質の高いパフォーマンスを作ることを目的とした「リアルコンタクト」プロジェクトは2008年から始まり、今も続いている。