背景と歴史

        

日野晃は名高い武道家であり身体運動のコーチである。彼の人間の身体と意識の理論は日本の古武道に根差すものだ。古武道は単なる戦闘技術としてだけでなく、身体と意識に関する根源的かつ複雑な哲学の一つとして、何百年もの歴史を生き抜いてきたものである。日野氏は古武道のエッセンスを基に、35年以上の年月をかけて彼独自のメソッド(日野メソッド)を築き上げてきた。日野メソッドは身体の中の、人間同士のつながりに対する身体感覚を研ぎ澄ますことにより、高度で効率的な身体の使い方を学ぶものである。

         

2005年に、日野氏は、世界的に有名な振付家ウィリアム・フォーサイスに招聘され、彼の舞踊団フォーサイス・カンパニーのため、ドイツのふらんくで初めてのワークショップを行った。それ以降、日野氏はカンパニーを定期的に指導することになる。フォーサイス・カンパニーとのワークを通して、日野氏は自身のメソッドがパフォーミング・アーツに深く貢献できることを確信する。初のドイツ帰国後間もなく、日野氏は国内外で表現者に向けた「リアルコンタクト」と題されたワークショップを展開し始めた。(これまでに10か国以上、延べ1万人以上がワークショップに参加している。)

         

日本の古武道のエッセンスをもっと深くパフォーミング・アーツに融合させるため、2008年からワークショップにショーケース公演を追加するようになる。そうすることで、日野メソッドの成果がより明確に現われるからだ。当初は、限られた日本人のコンテンポラリーダンサーを日野氏が指導、演出するものだった。これらのショーケース公演は、日野メソッドの劇的効果を証明しただけでなく、参加したダンサーや観客から熱烈なフィードバックを受けた。

         

2010年には、日野氏は正式にリアルコンタクトプロジェクトを発足し、「リアルコンタクト2010」と題したダンス作品を制作、演出した。公演は、岡山市立市民文化ホールと彩の国さいたま芸術劇場で行われた。

         

2011年には、演劇・ダンス作品「マクベス」を制作。この作品は、ダンスと演劇と和太鼓の見ごたえある融合となった。吉祥寺シアターと神戸のダンスボックスで上演され、両場所で大反響を呼んだ。

 

2012年には、「マクベス」はさらなる進化を遂げ、ダンサーの高原伸子、俳優の武田結子と平岡秀幸、和太鼓奏者の日野一輝を表現者グループの核にした作品になった。初演は2012年11月、彩の国さいたま芸術劇場。

 

         

そして今、リアルコンタクトプロジェクトは、海外進出をしようとしている。国境を越えて、舞台の上でのリアルコンタクトの可能性を探るために。